連載企画「工場さんと職人さん」について

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この連載では、ファッションブランド【muuc:ムーク】と一緒にものづくりをしてくださっている「工場さん」や「職人さん」を、製品製造の現場と共にご紹介していきたいと思っています。

 

●私たちの服づくり

私たちのブランド【muuc:ムーク】は、今から15年前、まだ文化服装学院のマスターズクラス「文化ファッションビジネススクール(BFB)」の学生だったファッションデザイナーの村松啓市が、【everlasting sprout:エバーラスティングスプラウト】という名前で立ち上げたブランドから始まりました。

「服をキャンバスに」をブランドコンセプトに、コレクションブランドとしてファッション業界の最前線で活動をしていました。そんな村松が活動の拠点を静岡に移したのは8年前のことです。そこからさらに、新たな経験と知識を携えて、昨年秋にブランド名を【muuc】に変更し、ファッションブランドとしての次のステージに進むことになりました。

村松は、ニットに関して専門的な知識と技術をもっている、世界でも珍しいデザイナーです。学生時代は、世界のファッションをけん引する【リネアピウグループ】のインターンとして経験を積んだり、その技術は、ニットの編み方で特許(※特許番号:2005-301654)を取得しているほど高いものです。村松のそのような背景もあり、私たちのブランドでは「専門性の高いニットの技術で社会や環境も変えていく」ことを目指しています。

 

●ものづくりの現場で起こっていること

日本のアパレル業界は今、大変厳しい状況に置かれています。中でも私たちブランドが最も深刻に受け止めていることが、服を製造する現場の「工場さん」や「職人さん」が、減ってきていることです。

この背景には、現代のファッション・アパレル業界の環境の変化や、経営の問題、さらには後継者不足の問題もありますし、原因を1つに絞ることはできませんが、どんどん「服を作れない」状況が広がっていることは、間違いありません。

例えば、私たち【muuc】が、まだ【everlasting sprout】として活動していた頃に製造していた服は、技術的に再現できないものが数多くあります。

意欲も技術も高い工場の現場から人が離れていく現状に、私たちは心を痛めています。そして、いつか自分たちの思うような服作りができなくなるのではないかと、懸念をいだいています。

 

●「工場さんと職人さん」について

私たちは、この連載「工場さんと職人さん」を通して、私たちの「服作りの背景にあるストーリー」を、どこまでも丁寧に「語りたい」と考えています。たった1枚の服について、どこまでも語り続けることができるのは、私たち【muuc】の強みだと思っています。

そして、私たちのデザインが生まれるストーリー、製品を工場の職人さんたちと作り上げるまでのストーリー、1枚の服がそれを着てくれる人に届くまでのストーリー、そのすべてを【muuc】の服を愛してくださる方には「纏って」いただきたいと思っています。

そんな思いを込めて、この連載を始めることになりました。

 

ぜひ【muuc】のストーリーを楽しんでいただければと思います。

 

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