茶畑にミツバチがやってきた

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こんにちは。静岡県でお茶農家をやっている曽根です。連載「お茶に集う仲間たち」では、僕の新しい挑戦を皆様にお伝えしています。

僕は今、近所にある「耕作放棄園」の開拓に挑戦しています。いよいよ本格的に開拓を始めた様子を、今日は皆さんに見ていただければと思っています。そして、この「耕作放棄園」を僕と一緒に盛り上げてくれる、新しい仲間がやってきたので、彼らのご紹介もさせてください。

 

●ほったらかしだった茶畑を整える

長年、誰にも手を加えられずに、ほったらかしになっていた「耕作放棄園」の最初の状況は、こんな感じでした。

ここを美しい茶畑に蘇らせるのが、僕の役目です。無農薬で、できるだけ肥料も入れずに、お茶を作りたいと思っています。先は長いです。

ボーボーに伸び放題になったお茶の木を目の前に、「さて、どこから手をつけようか……」などとのんびり構えている暇はありません。自然は人間の準備ができるのを待っていてはくれません。すぐに手を入れなければ!

早速、お茶の木を刈る専用の道具を使って、一気に1mくらいの高さまでお茶の木を刈り取りました。

ちょっと寂しい景色になってしまいましたが、新茶のシーズンを迎える頃には、ここにきれいな黄緑色の新芽がたくさんできているはずです。

 

●無農薬の畑を見守る

無農薬で茶畑を作るからと言って、あとは放っておいて何もしなくていい、というわけではありません。僕は、雑草の管理をしたり、病気が出ていないかをチェックしたり、新芽を待ちながら茶畑の様子を見守ります。

今まで出てこなかった害虫が出てくるかもしれませんし、場合によっては雑草や虫を手で1つ1つ取らなければならないので、こんなに小さな規模でも、管理をするのはなかなか大変なのではないかと思っています。

この「耕作放棄園」の開拓の挑戦を始めるにあたって、無農薬で茶畑をやっている方に、お話を伺いにいったことがありました。例えば、茶畑によく現れる害虫として有名な「ウンカ」はシソが嫌いなので、茶畑にシソを植えることで寄せ付けないようにする方法をとっている農家さんもあるそうです。それから、ハーブを溶かした水を撒いておくと、虫が嫌がるそうなんです。

そんなふうにして、畑の中に生態系を上手に作っていくと、無農薬でもちゃんとお茶を育てていくことができます。

害虫が現れるのは主に夏の暑い時期なので、それまでにいろいろなことを勉強しながら、虫たちとの格闘に備えたいと思っています(笑)

 

●新しい仲間の「ミツバチ」たち

「耕作放棄園」をお茶畑として蘇らせる挑戦の中で、僕がもう1つやりたいと思っていることが「養蜂」です。

一般の方には、あまり馴染みがないかもしれませんが、お茶の木もとても可愛らしい花をつけます。この花の蜜をミツバチたちに集めてもらって、「お茶のハチミツ」を作れないかと考えました。茶畑に住むミツバチが集めた「お茶のハチミツ」なんて、なんともお茶の産地静岡らしくていいんじゃないかと(笑)

ちなみに、こちらの写真の一番右がお茶の花です。真ん中はお茶のタネで、その左はタネの中身です。

農薬を撒いてしまう畑ではミツバチを育てることはできませんが、ここならできると思い立って、早速、養蜂をやっている知り合いの方にお話を伺って、いろいろなことを教えていただきました。

ミツバチには「ニホンミツバチ」と「セイヨウミツバチ」の2種類がいて、養蜂をやりやすいのは「セイヨウミツバチ」だと教えていただきました。「ニホンミツバチ」は少し気難しいところがあって、その場所が気に入らないと住み着いてくれないのだそうです。「セイヨウミツバチ」は、連れてきて巣箱をきちんと設置してあげれば、そこに住み着いて周辺から蜜を集めてきてくれるということでした。

ただ、茶畑に巣箱を設置して住まわせても、必ずしもお茶の花の蜜だけを集めてくるわけではなさそうです。ミツバチの行動範囲は人間の想像以上に広いので、実際にはいろんな花の蜜を集めてきてしまうそうです(笑)住んでいる場所や巣箱によっても味が結構変わるということなので、「お茶畑のミツバチ」たちがどんなハチミツを作るのか、とても楽しみです。

そして早速、ミツバチたちが僕の畑に来てくれました。

んっ?あれは???

じゃーん!ミツバチです!!!

正確には「ミツバチたち」です。この箱の中に約1万匹います(笑)急に1万の仲間が増えて、なんとも心強い限りです。

僕も長く農家をやってきましたが、自然相手も大変ですが、生き物を相手にするのはまた別の大変さがあります。「養蜂」を始めた僕の奮闘ぶりと、この1万匹のミツバチたちの活躍ぶりは、また次回に書きたいと思います。次回の予告代わりに、よろしければこちらの動画もご覧ください。

この茶畑で採れたお茶を飲みながら、この茶畑のミツバチたちが作ったハチミツを食べられる日を楽しみに、引き続き頑張っていきます。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。次回もまたぜひ読んでください!

 

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