連載企画「やさしいニットに仕上がる理由」について
はじめまして。ニットブランド「AND WOOL」と申します。これからこちらのマガジンで、連載を始めることになりました。どうぞよろしくお願いします。今日は、私たちの自己紹介と、この連載でこれから何を伝えていきたいかについて、書かせていただこうと思います。
●ニットブランド「AND WOOL」について
私たちは、静岡県島田市の茶畑に囲まれた山間に、アトリエ兼ショップのあるニットブランドです。ファッションデザイナーとしては世界でもめずらしい、ニットの専門知識をもつ村松啓市が、3年前に立ち上げました。
私たちの作るニット製品は、主に「手編み機」と呼ばれる機械を使って手仕事で仕上げています。「手編み機」は、昔はミシンと同じように一般家庭に普及していたものです。レバーを左右に動かすことで「ジャージャー」と音を立てながら、美しい編目が仕上がっていく光景もよく見られたものでした。
この昔ながらの機械を使って、私たちは1枚1枚手仕事でニット製品を仕上げています。たいへん手間がかかる作業なので量産はできませんが、その分、空気をたっぷりと含み、ふわふわでやわらかく、とても暖かい製品を作ることができます。他にはない、上質で風合いのある製品が生まれます。これが私たち「AND WOOL」のニット製品の特徴です。
●静岡を拠点に活動中
私たち「AND WOOL」が、静岡県島田市の山間部にアトリエを構えたのは3年前のことでした。
「AND WOOL」のディレクターを務める村松は、東京を中心に海外などでも活動するファッションデザイナーとして、15年のキャリアがあります。最先端のファッションの現場で活動する中で、「特別な誰かのためだけの服を作るのではなく、子供からお年寄りまで、すべての人にニットの素晴らしさを届けたい」という思いから、活動の拠点を地元静岡に移しました。それが、約8年前のことです。
私たちは「ご近所付き合いのようなものづくり」をしています。静岡の職人さんや農家さんなど、多くの方に支えられ、助け合いながらものづくりができることにとても感謝しています。
このすばらしい環境の中で、私たちも、かかわってくださる方みんなが幸せになれるようなものづくりをしていきたいと考えています。
●「やさしいニットに仕上がる理由」について
この連載では、私たちの作るニット製品の素材や製造の背景にあるお話をご紹介していきたいと思っています。
服が大量生産・大量消費されている時代の中で、「顔が見える服づくり」をすることは非常に難しい状況があります。実際のものづくりの現場では、作業工程は細分化され、製造過程を元のところまで辿ることがとても難しいからです。しかし私たちは、素材も含めてすべての作業工程について「顔が見える」製品を届けることを実現したいと考えています。
私たちのものづくりの背景を知っていただくことで、私たちの製品が皆様から長く愛されて、大切に使っていただけるようになることを願っています。
どうぞよろしくお願い致します。