茶畑でミツバチの世話をする

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こんにちは。静岡県でお茶農家をやっている曽根です。連載「お茶に集う仲間たち」では、僕の新しい挑戦を皆様にお伝えしています。

僕は今、近所にある「耕作放棄園」の開拓に挑戦しています。前回、この茶畑に、僕の新しい仲間としてやってきた「ミツバチ」たちをご紹介させていただきました。僕にとって強い味方ができた大変喜ばしいことなのですが、実は世話がなかなか大変で……(笑)ただ、奮闘しながらもとても楽しんでいます!今日はその話を聞いてください。

 

●ミツバチを茶畑に連れてくる

2月の終わり。静岡県島田市の神座(かんざ)というところで養蜂を営んでいる「シリポッケ養蜂園」さんから、女王バチと働きバチを分けていただきました。こちらの園主の横田川さんは僕の師匠で、養蜂に関するいろいろなことを教えてもらっています。

・シリポッケ養蜂園
 https://shiripokke.com

写真の箱がミツバチのおうちです。今はまだ1個しかありませんが、今年、要領を覚えたら来年は2個にしたいと思っています。

この箱1個の中に、女王バチが1匹と働きバチが約6000匹いる状態で譲り受けて、僕の茶畑に連れてきました。

茶畑に設置してしばらくすると、ミツバチたちも落ち着いたようで、蜜を集め始めました。帰ってきたミツバチの足を見ると、黄色い花粉をたっぷりと付けていました!

女王バチも頑張って卵を産んでくれて、箱の中のミツバチは今、3万匹くらいになっていると思います。

女王バチは、産む卵の数を周囲の環境によって調整しているようですが、調子がよければ1日に1500~2000個の卵を産むと言われています。ただし、働きバチの寿命は1~6ヶ月程度なので、だいたい4万匹くらいをキープするようです。

 

●ミツバチの世話に大奮闘

僕は週に1回、巣箱の中の様子を見ています。これを「内検(ないけん)」と言います。女王バチは元気に卵を産んでいるか、幼虫は元気に育っているか、ダニやスムシなどの害虫が湧いていないか、蜜をしっかり集めてくれているか、などを見てあげます。

この「内検」でミツバチたちの様子をしっかり見てあげることが、実は一番大事な仕事と言ってもいいと思います。これはある意味、ミツバチたちの「健康診断」で、健康的な巣を作るために大変重要なことなんです。巣を清潔に保つためには、何よりも健康であること。衛生的な環境になるよう、心がけています。

最初は「内検」のやり方がまだよくわかっていなかったので、煙をたくさんかけすぎて、ミツバチを錯乱させてしまいました(笑)

「内検」のとき、燻煙器から煙を出して(燻煙器の中では麻布を燻っています)ミツバチを落ち着かせるのですが、少しかけるとミツバチは巣の穴にスポッと顔を入れて落ち着いてくれます。その姿はとてもかわいいです。しかしかけすぎると、わけがわからなくなって錯乱してしまいます。

こちらが実際の「内検」の様子の動画です。

「かけすぎている」と師匠に指摘していただいて以降は、ほんのちょっとかけるだけにしていますが、はじめは加減がわからずに「こいつは敵だ!」と判断されたのか、しつこく追い回されて顔を2ヶ所も刺されてしまいました。翌日は人相がまったく変わるほど腫れ上がり、周囲の苦笑をかいました。

ひどい仕打ちを受けることを「泣きっ面に蜂」と言いますが、「まさにこのことか!」と実感した出来事でした。

 

●茶畑のハチミツができるまで

最初のハチミツを採るのは、7月20日頃にしようかなと考えています。溜まり具合で少し早めるかもしれませんが。

「あれっ?おかしいな?」と思った方もいるかもしれません。茶畑にお茶の花が咲くのは、10~11月の秋頃です。もちろん、僕の茶畑にも、花はまだ咲いていません。それなのにどうして、もうハチミツができているのかと。

ミツバチの活動範囲は、皆さんが想像されているよりも、ずっと広いんです。茶畑の周囲には、様々な季節の花が咲きます。菜の花、桜、梅、ハゼの木などなど。それらの樹木の花から、ミツバチは蜜や花粉をせっせと集めてきます。

その他にも、茶畑の脇に薄荷やレモンバームなどのハーブを植えているので、その花からも蜜を集めてもらう予定です。(ハーブの話は次回以降に書きますので、どうぞお楽しみに!)

実は、僕はひと足先にミツバチたちが集めたハチミツを味見させてもらいました(笑)これが、、、なんと、めちゃめちゃ美味しい!!!

自分で採った(実際に採ってきたのはミツバチですが……笑)ハチミツだからというわけではないですが、すっきりと雑味のない甘みがクセになる味でした!周囲の野山の空気をそのまま封じ込めた味と言ったらいいのでしょうか。さわやかな甘さが特徴のハチミツになったと思います。

今から採蜜が楽しみでたまりません。

おいしいハチミツが無事に採れるように、僕がこれ以上ハチに刺されないように(笑)、どうぞ見守っていてください! 引き続き頑張っていきます。

今回も最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。

 

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